高圧の電気料金の請求書の読み方:岡山の工場・店舗で基本料金が決まる「30分」の仕組み

この記事の結論

  • 高圧の電気代は「基本料金」「電力量料金」「再エネ賦課金」の3つの足し算です。
  • 基本料金は、直近1年でいちばん電気を使った30分間で決まります。一度上がると1年間は下がりません。
  • 請求書で見る数字は4つだけです。契約電力、最大需要電力、力率、使用電力量です。
  • 基本料金を下げる方法は3つあります。機械を同時に動かさない、力率を上げる、昼の山を太陽光や蓄電池で削る、です。

この記事は、岡山県内で高圧の電気を契約している工場・倉庫・店舗・介護施設の経営者と、総務・経理のご担当者に向けて書いています。敷地内にキュービクル(受電設備)がある会社が対象です。

請求書は3つの足し算でできている

高圧の電気代は、次の3つを足したものです。自社の工夫で動かせる部分と、動かせない部分があります。

項目計算のしかた自社で動かせるか
基本料金単価 × 契約電力(kW)× 力率による割引契約電力と力率は動かせる
電力量料金使った量(kWh)×(単価 + 燃料費調整)使う量だけ動かせる
再エネ賦課金使った量(kWh)× 全国一律の単価使う量だけ動かせる

携帯電話の料金にたとえると、基本料金は毎月の定額部分、電力量料金は使った分の通話料です。電話と違うのは、定額部分の大きさが「自社の使い方」で毎年決まり直すことです。

再エネ賦課金は、2026年度は1kWhあたり4.18円です。月に5万kWh使う工場なら、月およそ21万円になります。

電力量料金に含まれる燃料費調整は、原油やLNG(液化天然ガス)の輸入価格に合わせて毎月変わります。2026年は、2月末からの中東情勢の緊迫で原油価格が大きく上がりました。燃料の値段と為替は自社では動かせないため、使う量が同じでも請求額は変わります。

請求書で見る数字は4つだけ

請求書には多くの数字が並びますが、まず見るのは次の4つです。

数字単位意味
契約電力kW基本料金のもとになる数字
最大需要電力kWその月にいちばん電気を使った30分間の平均
力率%送られた電気をムダなく使えた割合
使用電力量kWhその月に使った電気の合計

kWは「同時にどれだけ使ったか」、kWhは「合計でどれだけ使ったか」です。水道でいえば、kWは蛇口の太さ、kWhはためた水の量にあたります。

基本料金は「いちばん混んだ30分」で決まる

契約電力が500kW未満の会社では、当月と過去11か月の最大需要電力のうち、いちばん大きい値がそのまま契約電力になります。自分で申し込む数字ではなく、使い方の実績で自動的に決まります。

駐車場にたとえます。1年でいちばん混んだ日の台数に合わせた広さを、1年間ずっと借り続ける仕組みです。混んだのがたった30分でも、1年分の料金に響きます。

よくあるのは、夏の午後に空調と機械を一斉に動かした日です。普段は150kWでも、その30分だけ180kWを記録すると、そこから1年間は180kWで請求されます。

金額で見てみます。基本料金は次の式で計算します。

基本料金 = 単価 × 契約電力 ×(1.85 − 力率)

単価を1kWあたり1,800円、力率を100%と仮定した場合の比較です。

契約電力月の基本料金年間
180kW275,400円約330万円
150kW229,500円約275万円
差45,900円約55万円

30分の山を30kW低くできれば、年間でおよそ55万円の差になります。単価は契約によって違うため、ここでは計算方法を示すための参考値です。

力率は「泡の少なさ」

力率とは、電力会社から送られた電気のうち、実際に仕事に使えた割合です。コップに注いだ炭酸飲料でいえば、泡ではなく飲める部分の割合にあたります。

高圧の契約では85%が基準です。85%を1%上回るごとに基本料金が1%割引され、下回ると1%割増になります。力率100%なら15%の割引です。

力率は、キュービクルの中にある「コンデンサ」という機器で整えています。コンデンサが古くなったり故障したりすると、気づかないうちに力率が下がります。請求書の力率が100%を切っていたら、点検の合図です。

基本料金を下げる3つの方法

基本料金を下げるには、30分の山を低くするか、力率を上げるかのどちらかです。

  1. 機械を同時に動かさない。 始業時の一斉起動を10分ずつずらすだけで、山が下がることがあります。目標値を超えそうなときに警報を出す「デマンド監視装置」を付けると、現場で気づけます。
  2. 力率を上げる。 コンデンサの点検・交換で、割引を最大まで戻します。
  3. 昼の山を太陽光や蓄電池で削る。 夏の午後に山ができる会社は、太陽光の発電と時間が重なります。

3つ目には注意があります。太陽光だけでは、曇った日に山が残ります。年に1回でも山が出れば、契約電力は下がりません。確実に下げたい場合は、蓄電池と組み合わせて設計します。

太陽光の効果を見るときの「単価」の出し方

太陽光で減るのは、使った量にかかる部分だけです。基本料金は原則そのまま残るため、請求額の合計を使用量で割ると、単価が高く出すぎます。

正しくは、基本料金を引いてから割ります。

使った量にかかる単価 =(請求額 − 基本料金)÷ 使用電力量

そのうえで、次の4つを確かめます。同じ会社でも、月によって数字が変わるためです。

確かめることなぜ必要か
燃料費調整額燃料の値段で毎月変わります。プラスの月もマイナスの月もあります
再エネ賦課金単価に含めて計算しているかどうかで、1kWhあたり約4円変わります
国の電気料金支援による値引き値引きが入っている月と入っていない月があります。入った月だけで見ると単価が低く出ます
消費税税込みか税抜きかをそろえます

季節で単価が変わる契約もあるため、1か月分ではなく12か月分で確かめます。

当社のコラムで使っている「1kWhあたり22円」は、計算の流れを示すための参考値です。実際の試算では、お客様の請求書から上の手順で単価を出します。

自社でできる確認:請求書12か月分を並べる

費用をかけずに、今日からできる確認です。

  1. 請求書12か月分から、毎月の最大需要電力を書き出す。
  2. いちばん大きい月を見つける。その値が今の契約電力になっているはずです。
  3. その月に何があったかを思い出す。猛暑、増産、新しい機械の導入などです。
  4. 2番目に大きい月との差を見る。差が大きいほど、下げられる余地があります。

さらに詳しく見るには、30分ごとの使用データを使います。電力会社から取り寄せることができ、何月何日の何時に山ができたかまで分かります。

よくある質問

高圧の電気の基本料金は、どうやって決まりますか?

単価 × 契約電力 × 力率による割引で決まります。契約電力は、500kW未満の会社では、当月と過去11か月でいちばん電気を使った30分間の値です。

契約電力は、申し込めば下げられますか?

500kW未満の会社では、申し込みではなく実績で決まります。1年間、30分の山を低く抑え続ければ、古い山が対象から外れた時点で下がります。

力率は請求書のどこに書いてありますか?

「力率」または「力率割引(割増)」の欄にあります。100%なら割引は最大です。85%を下回ると割増になります。

太陽光発電を入れると、基本料金は下がりますか?

下がる場合と下がらない場合があります。山ができる時間と発電する時間が重なり、その日が晴れていれば下がります。確実に下げるには蓄電池との組み合わせが必要です。

デマンド監視装置とは何ですか?

30分ごとの使用量を見張り、目標を超えそうなときに警報で知らせる装置です。空調などを自動で弱める機能を持つものもあります。

まとめ:請求書12か月分で、下げられる余地が分かる

基本料金は、1年でいちばん混んだ30分と力率で決まります。請求書12か月分を並べるだけで、下げられる余地があるかどうかが見えてきます。

ひだかやでは、請求書と30分データをもとに、基本料金と使用量の両方を下げる方法を無料で試算します。キュービクルの点検や力率の改善も、電気工事士が自社で対応します。

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中山 善継

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